はじめに

無視していい事実なんてないのよ.事実に反する理論なら,捨てておしまいなさい.

- Agatha Christie(1890-1976)

みなさん,こんにちわ.「ICTを支える『考え方』シリーズ」のディレクターをしています,戸﨑貴裕(とさきたかひろ)です.
本ページでは,シリーズ全体の解説,各トピックの解説と勉強会資料(PDF版),ならびに,参加者の皆様の声をお届けいたします.
開催予定のご確認と,参加のお申し込みは,eLVイベントページ(Connpass) から行っていただくことができます.
eLVでは,本シリーズ以外にも,さまざまな勉強会を開催しておりますので,ぜひ,ご確認ください.

資料は,最新版を公開しておりますので,これまでにご参加いただきました皆様にも(ありがとうございます!),ご確認いただけますと幸いです.
一方で,ご参加されたことのない皆様も,トピックや資料にご興味がございましたら,ぜひ,eLVにおいでくださいませ.


お知らせ:2019年より,各トピックの休日少人数版を,繰り返し開催予定.

考え方シリーズには,これまでに,IT業界の皆様のみならず,学生の方から,大学名誉教授の方まで,多彩な方々,のべ700名様を超えるご参加をいただき,おかげさまで,シリーズの全体像に近いコンテンツを揃えることができました.そのためか,全トピックのつながりを再確認したい,といったご要望もあり,より探究を深めていただくため,また,これまで無理をしてご参加いただいていた,遠方の方々のご負担を少しでも軽減するため,2019年より,各トピックの休日少人数版を,繰り返し開催予定です.開催のお知らせは,引き続き,eLVイベントページ(Connpass)にて行い,旧eLVイベントページ(Doorkeeper)ご利用の方には,別途ご連絡予定です.

ICTを支える「考え方」シリーズとは

知性の真の姿は,知識ではなく,考えを組み立てる力です .
- Albert Einstein


ICT業界のプロにとって,知らなくてもいい知識分野はありません.ICTに全く応用できない知識分野は,まずないからです.
とはいえ,全てを知ることは,一生かけてもかないませんし,人の認知能力,記憶力には,限界があります.

それでも,ICTに幅広く応用可能な,知識の習得方法は存在します.各分野の専門家とITとのコラボによって,熟考され,実証されてきた,この分野ではこう考えるのが基本という,「考え方」(思考ロジック)を,知識分野の偏りなく,統合的に理解することです.

無数の技術,製品やソリューションの表面だけを追いかけると疲れてしまいますが,その根底にある「考え方」を知ると,複雑なICTの世界がシンプルにまとまり,未知や変化に対応する力が生まれ,関連の無いと思っていた知識が繋がり,新たな価値を見出すことさえあるでしょう.

特定の専門分野における考え方の枠組みを,パラダイム(Paradigm),ということがありますが,本シリーズは,専門分野の枠を超え,特にICTへの応用範囲の広い分野から,基本(重要)とされる「考え方」と,シンプルな応用例を厳選し,ご興味のあるトピックから参加可能な形で,無限の応用のきっかけとなる,「考えを組み立てる力」を,お持ち帰りいただくシリーズですので,いわば,統合パラダイム学習(Joint Paradigm Learning)とでもいうべき,学習方法の,実践ということになります.

シリーズ予定


*各トピックは,複数回開催予定です.また,開催順や内容が変更になる可能性があります.
*シリーズに関する追加・変更・パワーアップは,本ページでお知らせいたします.

S00 ICTにおける学術分野統合学習の必然性

学術の基礎は,常に変化する "自然" のなかに,"不変" な表現を見つけようとする,希望と試行錯誤です.


ICT は,およそ人間の認知しうる全世界を対象とし,データ構造として表現し,統合します.そのため,矛盾のないシステムを,起案,設計,製造,運用するには,人にも AI にも,世界を "学習" し,表現する力が必要です.
世界を,効率的,かつ,"正しく" 表現するための,"学習" の指針は,各学術分野の「考え方」として存在し,"言語" が,すべての分野をつなげます.
世界の全てを矛盾なく表現する論理学,を使い,データ構造を定義し,不変の性質を証明する数学,を使い,不確実性を表現する確率論,統計学と情報理論,ここまでを使い,自然現象の不変量を表現する物理学,ここまでを使い,人の思考,行動や社会を表現する,心理学,言語学,法学をはじめ,世界を表現する理論の全てを,計算として表現する,計算理論.
矛盾なき自然世界に分野の境界はありません.各分野の「考え方」を,共通の遷移規則でつなぐ思考の "自然" かつ可能な領域が, ICT です.

勉強会資料


1)最新版PPT(PDF版,2019年4月18日:第1版)
2)田邉先生ご提供資料01:「帰納という原罪」(PDF版)



参加者の皆様の声(アンケートより)


「膨大な量でしたが,つながり,まとまりがあり,各分野を詳しく学びたくなりました.」 「凄く勉強になった.」 「ポイントを絞った説明がよかったです.」 「この内容をこれだけまとめられるのはすごい.」 「ICTの奥深さが印象に残った.」 「論理学は教養として必要だと感じました.」 「論理学は世界を写すものである,ということが印象に残りました.」 「基礎である論理学をさらに学びたいと思いました.」 「一番ベースの論理学と数学をさらに学びたいと思った.」 「ラムダ抽象はICTエンジニアなら知っていて当然という言葉が印象に残った.最近,Haskellと共に学びはじめ,社内勉強会で説明したが,興味を示したエンジニアが一部しかいなかったので…」 「学生時代,専攻していた物理学からだいぶ離れてしまいましたが,もう一度学び直したいと思いました.」 「圏論,トポロジーについて,さらに詳しく知りたいと思った.」 「自分の中で消化(理解)が進んだころに,同じ内容を学んでみたい.」 「分野の繋がりまでも射で表していたところが印象に残った.」 「行列とか複素平面とか,数学全般をさらに学びたい.」 「ビジネスパーソンが学べる場は貴重なので,継続,存続を希望します.」

S01 数学の考え方(圏論編)

次世代コンピュータは,集合論ではなく,むしろ圏論に立脚すると見てまず間違いないだろう.
そして,そうと意識するかどうかによらず,圏は我々の日常生活にも入り込んでくるだろう.
- Edward Frenkel (1968- ), Love & Math (2013), 「数学の大統一に挑む」 青木 薫 訳


圏論(Category Theory)とは,数学のさまざまな分野の対象を,矢印(→)の図で示すことによって,統合し,単純化,効率化できる,という考え方から発展した,シンプルかつ強力な数学の理論です.
ICT分野においては,圏論の矢印を関数と捉えられることから,当初は関数型プログラミングをはじめとした領域で応用されましたが,今世紀に入り,クラウド,ビッグデータ,IoT,AI(人工知能)や、DL(ディープラーニング)の時代において,複雑な要求の単純化,効率化と,平行性(Concurrency)の確保に不可欠な「考え方」となり,具体的には,ラムダ抽象,矢印とその合成・分解・反転,クロージャー,ファンクタ,モノイド,モナド,遅延評価,参照透過性,不変値,No Side Effect などの「考え方」が,クラウドサービス,プログラミング言語,データ処理設計等,様々な領域で,Googleを筆頭とする,数々の成功例を生み出しており,今後,コンピューティングの基礎を支える理論とされています.
数学理論の純粋な表現は,ICT の設計に,普遍性のある保証をもたらします.いつ,どこで,誰が(何が)実行しても,論理の破綻しない保証です.この保証を得ることで,使えるリソースのある限り,どのような規模の処理も設計可能となります.数学理論の純粋な表現を追求し,ICT業界に多大な影響を与え続けている,関数型言語と,その影響を理解することで,IT技術を牽引する人々が,いわば,理想(数学)と現実(ICT)のギャップを,どのように埋めようとしているのか,その考え方を身につけましょう.
一方,数学としての圏論は,理論でありながら,論理学において,対象 ( データ構造 ) と,対象間の関係 ( 推論規則 ) のみで,世界を表現する,形式体系に近く, データ構造間の, "不変" な関係を探究する理論.現在そして将来,ICT を支える重要な「考え方」といえます.

勉強会資料


1)最新版PPT(PDF版,2019年2月16日更新)
2)基本デモスクリプト(PDF版)



参加者の皆様の声(アンケートより)


「デモがはさんであってわかりやすかったです.」 「モナドが気になっていたのできけてよかったです.」 「モナドまでは理解していたのですが圏論ははじめて学んだので,とてもよかったです.」 「圏論的な視点でファンクタやモナドを学ぶことができた.とてもおもしろかった.」 「Java の Stream やラムダの意義が分かっていなかったが,考え方がわかったので,理解を深められそう.」 「ITアーキテクト養成講座というのを受講したのですが,考え方の基本が,本日の圏論に基づいたものでした.良くわかって大変有意義でした.」 「もう一度 Haskell に挑戦しようと思いました.関西での開催予定はないでしょうか・・・」 「むずかしかったので,Haskell を触ってからもう一度聞いてみたい.」 「圏論自体初めてだったため,多くの Keyword が入手できた.」 「すごくおもしろかったです.」 「(資料がよかった)あとでじっくり読みたい.」 「圏論と Haskell の対応について,初めて学ぶことができました.ありがとうございました.」 「普段勉強する機会がないテーマなので,とてもよかったです.発展的に更に勉強したいと思いました.」 「群論もほぼ初めてだったので,圏論との関連性が少しでもわかったのは良かったです.」 「また自分にない知識をかみくだいてレクチャーしてもらえると助かります.」 「関数型言語に関連する考え方を知ることができ,勉強になりました.」 「具体例が挙げられて分かりやすかったです.」 「ちょうど JAVA SE8 のラムダ式を学び始めたところでしたので,良かったでした.」 「新たな発見が十分あった.関数型プログラミングって単にクラスがなくてクロージャーができるって認識でした.」 「名古屋から来ました.気になって申し込みましたが,自分の中で,壁を突破できました.可能であれば,講義内容をWebで見たいです(有料でもかまいません).移動費だけでもつらいので.」 「まだ,知識や経験が少ないので,まずはいろいろな事を勉強していく場として利用したいです.いずれ,発信する側になりたいです.」 「始めての事が多くむずかしかったが,おもしろかった.」 「ICTについて考える際にベースとなるような様々な考え方を勉強できればと思います.今後も期待しています.」 「まだ理解が不十分だが,考え方として役立ててみたい.」 「Haskellの文法書を追うだけでは分からなかった背景を,一部ですが理解できました.」 「Haskellのデモをあまり目にする機会がなかったので,よい機会になりました.」 「少人数だったので濃密で,理解も深まったと思います.」 「モナドやファンクターについて納得感があった.」 「フェルマーの最終定理を読んだことがあったのでついていけた.ないと厳しかったかも,と思うところがありました.」 「他の納得版シリーズにもぜひ参加してみたいです.」 「知らないことを知れる,という意味で,とても期待している.引き続き参加したい.新しい視点を得られる場.」

ギークロイドさんの記事「勉強会に行ってみた!」(取材・原稿:三土たつおさん)

マイナビ・ギークロイドさんの 「『勉強会に行ってみた!』第34回 」 で,S01 数学の考え方(圏論編)が紹介されました.ぜひ,ご参照ください.
*ちなみに,同サイトの模様替えにともない,「いいね!」の数がリセットされてしまいました.ユーザの意思表示が消されてしまうのは残念ですが,少なくとも,公開時に30名はいらっしゃった,「いいね!」意思表示をしてくださった皆様,ありがとうございます!

S02 心理学の考え方(AIを語る前に,人間を知りましょう)

目が何を捉えようとも,私たちは,内なる願望に応じて,脚色し,成型する.
- Thomas Hardy (1840-1928), Far from the Madding Crowd


ICTの世界では,人の行動が結果を左右する場合,人の行動を左右したい場合,そして,脳をはじめとした人体の仕組みと,その傾向を,システム設計の根拠としたい場合,例えば,UI設計・改善,運用設計,マーケティング戦略,サービス戦略,組織運営やプロジェクト管理,それから,AI(人工知能),DL(ディープラーニング),ロボット等,様々な分野,様々なフェーズで,心理学の成果のみならず,心理学におけるテスト方法などの考え方が,応用されています.
心理学(Psychology)とは,行動(behavior)と,心(mind)を研究する学問分野であり,主に人間の,一生を通じた,全ての活動が研究対象となります.当初は,人の行動,容姿や性格などを観察し,分析することから始まる,人文科学的アプローチが主でしたが,現代では,人体の構造と機能,すなわち,脳と人体を客観的に理解することから始まる,自然科学的アプローチが加わり,両アプローチのコラボ分野となっています.
心理学を応用するにあたって,人文科学と自然科学,いわば,Soft Science と Hard Science の,2つのアプローチの考え方を知り,その特性と限界をイメージできること,さらには,詐欺科学的アプローチの指摘方法を知り,科学的な見せかけに惑わされない考え方を知ることは,さまざまな場面で有用な,判断力の素となることでしょう.心理学は使える?使えない?を感覚で判断するのでなく,判断理由を説明できるようになりましょう!

勉強会資料


1)最新版PPT(PDF版,2018年10月10日更新)



参加者の皆様の声(アンケートより)


「心理学は大学でかじっていたが,役に立たない学問と思っていたので,よかった.新たな発見があった.」 「人文科学的・自然科学的アプローチなど,アプローチ的な話から,脳構造などハード面の話まで,盛りだくさんで興味深かった.」 「とてもおもしろかった.乳幼児心理学の話のあたりから,一気に面白くなってきました.」 「AIの学習モデル構築のヒント,デジタルテクノロジーで解決すべき社会課題を抽出できた.」 「AI等の先端技術を学びたいと思っています.関連する座学があったらぜひ出席したいです.(*でも数学がニガテです…)」 「脳の心理を3段階に分ける考え方はわかりやすかった.」 「世の中のマーケティングで利用されている方法が分かって面白かった.」 「マーケティングを勉強しているので,数字に関することや今回の心理はすごく勉強になりました.また参加したいです.」 「網羅性の高い資料になっていると感じました.」 「資料がよくまとめられていて,勉強できます.」 「非常に中の詰まった資料を公開していただいているので,とても嬉しいです.」 「参考になるページ,URL,学者の名前の紹介(がよかった).」 「日本語化されていないものの紹介が面白かったです.」 「今後の勉強会も楽しみにしています!!」 「ありがとうございました.有用なお話でした.」 「(詐欺科学としての)精神医学の話が面白かったです.」 「プチトークが参考になりました.」 「昨年はじめて参加したテーマでした.やはり2回づつが理解しやすい.『考え方』シリーズ全体のイメージが出てきました.全て2回づつ参加したい.」 「専門的でしたが,新鮮でした.説明が具体的で良かったです.ありがとうございます!」 「知らない分野で大変面白かったです.ありがとうございました.」 「黒川さんの本読んでみます.ありがとうございました.」 「(予告のあった)物理学は非常に興味があるので是非参加したい.」 「とてもおもしろかった.他の勉強会にはないテーマで,良かったです.」 「内容が盛り沢山でお得な気分です.」 「トピックが変わっていて面白い.だから行こうと思える.この傾向は続けてほしい.」

S03 統計学・確率論・情報理論の考え方

データが揃う前に推理をするのは,致命的な間違いだよ.事実に合う推理をせず,知らず知らずのうちに,推理に合うように事実を捻じ曲げてしまうからね.
- Arthur Conan Doyle, Sherlock Holmes


統計学,確率論,情報理論の根本にある考え方は,不確実性への対応です.その動機は,不確実な世界を,できる限り確実に捉えて安心したい,不確実な未来を,できる限り予測して安心したい,という人間の欲求です.この欲求を満たすための応用こそ,価値ある応用といえるでしょう.
しかしながら,この三者を生かせるかどうかは,使い方次第です.リーマンショック前の経済予測,最大震度予測,臨床効果予測など,統計学,確率論を応用した専門家の判断や予測は,けっこう外れています.専門的であるということが,志向や都合の偏りである可能性を考慮しないと,AI(人工知能),ML(機械学習)といった技術が,妄想マシン,詐欺マシンを作り出してしまいます.
一方で,品質管理や,マネーボールといった,成功例を見ると,因果関係を見据えた,公正なデータ選定が,重要だとわかります.入力が偏れば,出力も偏る,ICTの専門家に,必須の思考です.
統計・確率の考え方は,ICT分野のみならず,ほぼ全ての学問分野,ビジネス分野で必須の考え方であり,その重要性が低下することは無いでしょう.統計学,確率論,情報理論について,それぞれの考え方を関連付け,まとめて理解しておくこと,そして,応用における失敗例,成功例から,その特性と限界を知っておくことは,現代のICTに関わる人々にとって,多くの場面で役に立つこと,間違いなしです.

勉強会資料


1)最新版PPT(PDF版,2018年8月7日更新:ケンブリッジ大学講義における情報理論の説明を追加.)
2)基本デモスクリプト(r_demo_2018_08_05.R)
3)Cat Cafe データ(catCafe02.csv)



参加者の皆様の声(アンケートより)


「とてもおもしろかった.流れるような説明で,素直に頭に入りました.独学で理解はしていましたが,整理できて良かったです.インフォメーションゲインは,初めて知りました.」 「例示が多く,一貫しているのが分かりやすかった.」 「Rのデモがとてもおもしろかった.」 「アニメーションやグラフが美しく,マネたくなりました.」 「情報理論は良書があまりなく,情報理論の解説がよかった.情報理論の説明を重視してほしい.」 「確率がある程度既知の内容だったので,より統計・情報理論によった話に力点が置かれると嬉しかったです.」 「むずかしかった・・・でも,おもしろかったです.学んでみたいと思います!!」 「内容がもりだくさんで,おもしろかった.」 「題材が Cat cafeでよかった.もっと時間がほしかった.」 「情報をどういう観点でみるのか,具体例とともに知ることができました.」 「過去に勉強したはずのことのほとんどを忘れていることに気づかされました.」 「量が少し多過ぎたかも.でも今日のゴールの全体像をお話いただけたのがよかった.資料やRなどのコードシェアはとてもよい.」 「非常に有意義に,体系的に,知識をブラッシュアップできた.」 「確率論が,統計学だけでなく,情報理論にまで関わっていることは,新たな発見だった.」 「とても勉強になりました.」 「おもしろかった.全体をかけ抜けることでわかる関連性もある.」 「今までわからなかった帰無仮説,対立仮説の所が少しわかった.」 「とてもおもしろかった.(もっと)ITとの関連部にフォーカスがあってもよい.ネコがかわいい.」 「正規分布の導入の話,Rでのシミュレーションがよかった.」 「リラックスできる雰囲気でよかったです!」 「落ち着いた雰囲気で,集中できました.」 「すごくわかりやすくて面白かったです.また参加します.別のに.」 「確率の設定は,自己責任(という新たな発見があった).」 「『統計学といっても,判断は人 or AIが正す手段を持つこと』に気づいた.」 「(説明やまとめ方が)ていねいに記述しています.」 「ポイントがまとまっていて,分かりやすかった.」 「デモも多く,理解しやすかったです.」 「自分のレベルが良くわかった(悪い意味で...).」 「大学で学んだ事,情報処理技術者試験のこと,日々の業務のことが,この勉強会で結びつくところがあり,楽しませてもらいました.他のシリーズでもそのような発見がありそうなので,また参加します.」 「IGと圧縮の関係は新鮮だった.」 「経済学や経営学の勉強会を期待しています.」 「Rの手軽さ,スキャッタープロットなどの一部手法が,新たな発見だった.」 「とても分かりやすく情報も多いのにコンパクトで,とても良い時間でした.無料なのがおしいくらいだったので,PayPalでの案内があり,よかったです!」 「(資料がとてもよかった)読み物として非常に読みごたえがあり,まとまっているので,素晴らしいと思います.」 「(資料がよかった)内容が濃く,自習に非常に参考になりそうです.」 「考え方シリーズで最も興味のあるテーマだった.」 「統計学,確率論,情報理論,それぞれの関連性がわかったのでよかったです.」 「数学の知識があったらもっと楽しかっただろうと思いました.ありがとうございました.」 「有償でもよさそうな.PayPalには賛同します.」 「情報理論を別枠でもやってほしい.」 「考え方シリーズに,まんべんなく出たい.」

S04 計算理論の考え方

絶対に間違わないマシンを期待するなら,そのマシンは,知的にはなりえない.
- Alan Turing(1912 -1954)


ICTエンジニアが学ぶ,技術的対象というのは,コンピュータの仕組み,ネットワークの仕組み,プログラミング手法,データの符号化,表現や分析手法,プロトコル,アルゴリズム,設計手法,製品知識,技術動向,技術標準,資格試験の過去問,○○指向,○○法,○○シンキング,○○メソッド… すべては,「計算」の本質に基づいた,派生テクニックです.こうすればいいかも,という「答え」です.千差万別の「答え」には,千差万別の「考え方」があります.
一方で,「計算」の本質を捉える「考え方」は,唯一,「状態遷移」だけです.
そのため,全てのコンピュータは,状態(演算結果)の遷移モデル,すなわち,オートマトン,ラムダ抽象,もしくは,圏論の言葉で表現可能です.世界を計算で捉えるための,万物の理論,計算理論の「考え方」を,身につけましょう.
計算理論は,主に,オートマタ理論,計算可能性理論,及び,計算複雑性理論のコラボ分野となります.MITやスタンフォードなど,海外の有名大学では,複数の講義内容が公開されている一方,残念ながら,日本語では,学ぶ機会の少ない理論となっています.
とはいえ,「計算とは何か?」,「コンピュータとは何か?」をシンプルに突き詰めた人類の英知,根本的で役に立つ「考え方」を知らないまま,ICTのプロフェッショナルをやっていたのでは,人生がもったいない,IT業界にいながら,どうして初めからこれを学ばなかったのだろう,と,理解した方は思う,ただし,理解したのはいいけれど,そのパワーを人に説明するのが難しい,計算理論は,そんな理論です. 今回も,内容が盛りだくさんですが,すべては,「世界を計算で表現するための考え方」,というお話になりますので,その点を頭において,お聞きいただければと思います.
そして,まじめな話,人工知能や機械学習を議論するまえに,必須の考え方です.アインシュタインのように謙虚になって,本質を捉えるための考え方から,固めていきましょう.

知的生命体が,他の惑星にいるかだって?地球上に存在するかどうかさえ,怪しいと思うよ!
- Albert Einstein


勉強会資料


1)最新版PPT(PDF版.2018年9月16日更新.対角線論法,ゲーデルの不完全性定理,および,決定不可能な問題が存在することの証明につき,スライドを追加し,その他細かな増訂を行いました.)



参加者の皆様の声(アンケートより)


「何となく学びたいと思っていたが,とっつきかたが分からなかったので,視野が広がります.新たな発見があった.」 「質の高い資料で,とてもよかった.」 「説明やまとめ方がとてもよかった.スピードが丁度よく,スライドを見ながら聞くと,大変理解しやすかった.」 「特に計算複雑性理論に興味があり参加しましたが,より広い理論に触れることができ,計算に関する勉強の意欲が増しました.ありがとうございました.」 「有料でもいいので,徹底的に分かるまで聞きたいです.」 「質の高い資料なのに,只(タダ)なんて!」 「(2時間では)時間が足りない?(^^)」 「時間の長いバージョンを開催してほしい.」 「資料がとてもよかった.後で読めば,大部分わかる気がする.」 「自分には難しすぎましたが,何を学ぶべきかシラバスがわかった.」 「計算複雑性の部分をもう少しじっくり聞きたかったです.」 「物理的なコンピュータはメモリを上書きしていることと理論上のコンピュータとの関係(理論と実践)をさらに深く知りたい.」 「量は多かったが,どれも関数プログラミングに近い概念が多く,興味深かった.」 「チョムスキー階層(特にチューリングマシン)と遺伝的アルゴリズムをさらに深く知りたい.」 「少し後半ハイペースだったが,まとめ方がとてもよかった.」 「事前知識があまりなくても,楽しめました.」 「資料がとてもよかった.大変見やすく,もう一度読み直したいと思います.」 「難しかったけれど,わかりやすく説明して頂けた.」 「資料がよかった.後で見返しやすいと思いました.」 「今回すごくむずかしかった.」 「説明やまとめ方がとてもよかった.難しかったけれどわかりやすく説明して頂けた.」 「この資料で事前に予習しておきたかった.」 「資料がとてもよかった.図解が分かりやすい.」 「おもしろかった.もっと高度な内容もお聞きしたかった.」 「還元の考え方が特に理解できた.」 「(資料で言及している)圏論のプログラミング言語上での応用をさらに深く知りたい.」 「個人的には大変面白かったが,(理論に興味が薄い)現場のエンジニアの人にみりょく(や意義)をどう伝えるのが良いのか,気になる.」 「A) 圏論やFormal methodに興味があり B) 仕事としてはDeep Learning, cloud computingの知識が必要です.A) B) の相互の関連があり,役に立てることができれば...(今後,そういう内容に期待)」 「雨の中来た価値がありました.」(*考え方シリーズ開催時刻に雨だったのは,この回だけ.ある意味,"当たり"です☺) 「普段は意識しない『考え方』を学べた印象がありました.」

S05-A 物理学の考え方(時空・ベクトル・テンソル編)

自然の美しさを解き明かしたいのなら,彼女が話しかける言葉,数学の理解が必要です.
- Richard Feynman ( 1918 – 1988 )


すべてのデータの舞台となる,時空.
グラフィクス,アニメーション,シミュレーション,分析,予測,解析、工学計算,それから,IoTデバイス,各種センサー,ロボットデバイス,AI ( 人工知能 ),ML ( 機械学習 ) に係るデータ処理等,ICTの現場で利用・生成される,すべてのデータは,それが現実世界のデータであれ,バーチャル世界のデータであれ,時間・空間の属性を持つことが可能であり,多くの場合,計算上,必要です.ここに,全ての観測者が合意できる計算方法がなければ,世界を客観的に計算することはできません.
この計算に応用されるのが,物理学において,自然現象に対する,すべての観測者の意見を一致させ,不変量を特定し,世界を計算する,主にそういう目的で導入された,ベクトル,テンソルと,その性質を普遍的に保証する,数学の理論です.
今回は,物理学における,時間・空間・時空と座標計算の全体像,ベクトル,テンソルについての,抽象代数学的な裏付け,そして,物理法則を用いたプログラミング,この3分野を結びつけ,それぞれ単独で学ぶと難しく思える,各分野の考え方が,本当はシンプルな動機に基づいていることを,ICTに応用可能な形で,理解していただきます.世界を計算するための,ゆるぎない基本を,皆さんの思考道具箱に,常備しましょう!
数学の理論と,自然現象が一致する,美しい事実を,コンピュータで計算する,シンプルで具体的な例は,皆さんのイマジネーションを刺激し,人生を豊かにすること,間違いなしです!

勉強会資料


1)本編(Day 1)最新版PPT(2019年5月6日更新)
2)デモプログラム解説(Day 2)最新版PPT(2018年5月22日更新)
3)Processingデモプログラム最新版(S05ADemos_v2018_05_23.zip, 2018年5月23日更新)
*S05ADemos_v2018_05_23.zip: SHA256sum:9480e0d7ae27f1591f9f4f3c5c89b1c71f317a0bd47dbc73f9fd35a6ed8485c5
4)SageMathデモ(S05ASageDemos.zip)
*.ipynb形式です.CoCalc(SageMath Cloud)をご利用になるか,もしくは,SageMathをダウンロードし,Jupyter + SageMath 8.0以降のカーネルでご利用ください.SageMathは,フリーソフトウェアです.
*S05ASageDemos.zip: SHA256sum:433a1f44d8d5373cde097a6708b0bfbd9f99b36bfe52ec89d30eefc349b10861
*デモプログラムの動作方法,及び,内容につきましては,現在のところ,ご参加いただきました皆様にのみ,解説を行っています.



参加者の皆様の声(アンケート,及び,雑談タイムより)


「大学で物理を専攻していた時にわからなかったことが,今日,わかりました.」 「Motion Planning等の研究に,物理学を使っています.若い世代が一人前になるために,学ぶべきことが多すぎる時代なので,学び方は重要.」 「組織を超えて,数学,物理の概念の,直観的なところを理解できる場を期待します.」 「Processingで数学・物理学を使ったアニメーションを制作,研究しています.今後はデータを使ったアニメーションにも力を入れていきたいです.今日は来て良かったです.」 「ベクトル・テンソルを学べたので,それを活かして自分のやりたいことにつなげたいと思います.(Processingで)結構簡単にビジュアル表現ができそうな気がしたので,使ってみたいと思いました.」 「仕事でバイオメトリクス認証を扱っています.不明な部分も理解のヒントになったので有意義でした.」 「仕事でロボットシミュレーションを行っています.難しいところを,2週に分けても良いので,腰を据えて理解したいです.」 「シミュレーションの説明がおもしろかったです.」 「説明やまとめ方がよかった.端的かつ直観的な表現があって良いです.」 「数学の可視化による説明が分かりやすかったです.最先端の数理物理の成果を,YouTubeなどへ,Processingで動画で紹介したくなりました.」 「Blenderの他に,分かりやすいソフトがあることを知れて良かったです.」 「デモが理解しやすかった.」 「ただ難しかった…内容はわかりやすかったが,自身の知識が不足していた.」 「今後も新しい物の見方を与えてくれる物を期待しています.」 「ロボットの制御で物理学を使用しています.おもしろかった.」 「ひとつひとつのテーマが興味深かったです.これからの学びに非常に役立ちました.ありがとうございました.」 「ありがとうございました。(考え方シリーズに)一通り全部参加したいです!!全部参加チケットとかあると良いかも.」  *物理学の回は,これまで,ロボット,センサーやAI系のお仕事をされている方々,Processingでアニメーションを作成されている方,格闘技に物理学を活かしたいという方から,某重力波測定プロジェクトに関わられた方まで(!),多彩な方々に,ご参加いただいています.某重力波測定プロジェクトに関わられた方には,おまけで紹介した映画,「インターステラー(Interstellar)」の,追加解説をしていただいちゃいました.今後の開催でも,雑談タイムが,本編より貴重な体験になるやもしれません :-)

S08 論理学の考え方(根拠を説明する技術)

自分は正しい,という思い込みほど,恐ろしいものはない.
- Michael Faraday ( 1791-1867 )

本当に大切なものは,目には見えない.
- Antoine de Saint-Exupéry. Le Petit Prince.


説得,提案,アドバイス,批評,判決,診断,計算,予測,恋愛… 結論が正しいと思った時も,結論が間違っていると思った時も,明確な説明をしたいけれど,難しい.そんなあなたに,すべての人に平等で,永遠のルール,それが,論理学の成果です.
論理学は,「前提から結論に至る理由の妥当性」を研究する学問分野.思考の中に,"自然"で,矛盾のない世界を構成するために発見された,ルールの集合であり,他の学問分野すべてを支え,その応用範囲は,世界のすべてです.
一方で,論理のかたちは,とてもシンプルです.論理は,「前提 → 理由 → 結論」というかたちで表現でき,「理由」は,前提を入力として,結論を出力する,関数(推論規則)です.そして,すべての論理(証明)は,関数(推論規則)の合成(関数をつなぎ合わせること.)によって,構成されます.
近年のIT業界が,関数の合成を論ずる圏論(数学の理論.Category theory.)に目を付け,クラウド,IoT,人工知能などにおける,ビッグデータ処理の理論的保証を得たことと,論理のかたちが合成できることは,偶然の一致ではありません.これも近年,メジャーなプログラミング言語がこぞって採用した,ラムダ抽象(関数型プログラミング言語の基礎)を,論理のかたちとして捉えることができるのも,偶然の一致ではありません.数学ではなく,言語学がご専門のノーム・チョムスキー氏が,計算理論(数学)の形式体系を定義し,数学界に受け入れられたことも,偶然ではありません.人間の都合により,異なるように見える分野のすべては,論理学の領域であり,論理学によって,つなげることができ,新たな発明・発見の源となるのです.論理学的成果の再発見が,IT業界を育てた,といっても過言ではありません.
すべての人に平等な,論理というルールを知ったうえで,証明したいことを証明したり,行動と経験によって得たものを理解したり,説明したりすることが,自分の人生と,周囲の人々の人生を,豊かにしてくれるのではないでしょうか.ファラデーや,星の王子さまのように.
今回も内容が盛りだくさんですが,アリストテレス以来の歴史に加え,数理論理における,ゲーデルの不完全性定理という衝撃的な証明を経た,現代の論理学が,厳密な記号による証明に,“自然”を求めている,という事実を実感していただければ,論理学のあらゆる応用において,ICTでいえば,提案,要件定義,設計やアルゴリズムを,矛盾なく組み立てる思考に.磨きがかかるのではないかと思います.
自然世界に矛盾はありません.矛盾が存在しうるのは,自然世界のすべてを認知しえない,人間の思考の中,それから,矛盾の存在しうる人間の命令で動く,マシンの出力の中なのです.

勉強会資料


1)最新版PPT(PDF版,2019年4月11日版.)



参加者の皆様の声(アンケート,及び,雑談タイムより)


「論理学がこんなに広い範囲のものだとは知らなかった.世界が広がった.」 「あいまいな事が言語化されて,とても価値があったと思う.」 「要件定義における論理構成をもっと探究してみたいと思いました.」 「ICTと所々で紐付けて頂いたのがよかった.」 「理論やベースとなる考え方が網羅されているように感じました.」 「数学,圏論についてより深く知りたい.」 「(資料が)かなりまとまっていたので,改めて見直したい.」 「(資料がよかった)スライドの色使いが美しかった.」 「(資料がよかった)あとでふり返ることができる.」 「資料を後で見直したいです.」 「(論理数理における)"自然"の意味をさらに詳しく理解したい.」 「(体系の)健全性と完全性について,さらに詳しく探究したい.」 「双対圏について,さらに詳しく探究したい.」 「データ群から振る舞い検知する時(論理学の応用を意識しています.)」 「(考え方シリーズを)全体的に復習したいですね.」 「ディスカッションタイムとか,演習とかあってもいいかも.時間的には厳しいですが.」 「説明やまとめ方がとてもよかった.時間とボリュームのバランスが絶妙.」 「具体例をもうすこし多めにいただけるとありがたい.後半はわかりやすかった.」 「(S08は)2回目でしたが,十分発見がありました.」 「まずは本日の内容の復習からはじめます.」 「大変勉強になりました.どうもありがとうございました.」 「コーヒーごちそうさまでした.」 「初参加でした.またタイミングが合えば参加したいと思います.ありがとうございました.」 「毎回興味深い勉強会,ありがとうございます.」 「(今後扱うトピックについて)自動化に伴う倫理と法律(日常生活的な視点で)に興味があります.」 「『前提』の一致が大切,という発見があった.」 「基本的な考え方は理解できたと思うので,それを身に付ける方策を学びたい.」 「今回初めて勉強会に参加しました.かなり難しい部分もありましたが,考え方を広める点で大変有意義でした.」 「考え方を一度たたきこめば応用がきくのだなと思いました.1日で追いつくのは大変でしたが,生きる上での希望を得ました.」 「資料がとてもよかった.かわいい.」 「仕事に生かせそうです.ありがとうございました.」

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